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涙の箱
¥1,650
ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話 この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して 昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。 ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。 「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。 幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。 2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。 「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。 怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。 ……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は 純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、 いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」 ―本文より― 涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。
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エパミナンダス
¥1,760
SOLD OUT
【内容紹介】 てのひらにのる小さなお話集です。幼児から小学校中・高学年までたのしめる日本や外国の昔話、創作、わらべうた、指遊びなどを数編ずつ収録しています。いずれも実際に子どもたちに語った経験をもとに編集されています。 【収録作品】 ・エパミナンダス (ブライアント作) ・こぶたが一匹…… (指あそび 中川李枝子作) ・かしこいモリー (イギリスの昔話) ・おいしいおかゆ (グリム昔話) ・くまさんのおでかけ (中川李枝子作) ・ブドーリネク (チェコの昔話) ・スヌークスさん一家 (ウィリアムズ作) ・ぼくのおまじない (人形げき 中川李枝子作) ・十二のつきのおくりもの (スロバキアの昔話) ・森の花嫁 (フィンランドの昔話) ・なぞなぞ (中川李枝子作)
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どうぶつせけんばなし/出口かずみ
¥1,650
◆内容紹介 9つの短いお話が入った短編集。 著者の出口かずみさんが、猫に読み聞かせるために書かれた短いお話たち。 どのお話も、派手な展開はないけれど なんだか可笑しい。 一度読みはじめたら、気付かないうちにニヤニヤしているかもしれません。 ●一話だけオンラインで読むことができます● 「シズばあさんのちえぶくろ」/出口かずみ「どうぶつせけんばなし」より http://rusuban.ocnk.net/diary-detail/8 ◆お話タイトル (1) アヒルとめがね (2) こねこのしろくろ3きょうだい (3) きをつかったリス (4) もぐらのどりょく (5) シズばあさんのちえぶくろ (6) わすれんぼう、ねぼう、かくれんぼ (7) やすみの日のネコ (8) とりとおじいさん (9) こぐまのチャムチャム ◆著者紹介 出口 かずみ (デグチ カズミ) (著 / 画) 1980年佐賀県生まれ。作品に『ABC かるた ちいさいおじいさんのくらし』『どうぶつせけんばなし』『画集 小八』(以上えほんやるすばんばんするかいしゃ)『うろおぼえ一家のおかいもの』(2022年 The White Ravens選定)『うろおぼえ一家のパーティー』など、絵の仕事に「ポテトむらのコロッケまつり」(文・竹下文子/教育画劇)『たくはいび――ん』(作・林木林/小峰書店)などがある。